2011年01月28日公開|ジャガー
308型最終のジャガーです。
ベンツのSクラスやBMWの7クラスと同じカテゴリーに属しますが、車作りの基本的な考え方はかなり違いが有ると思います。
このクラスはドライバーズカーとしてもショーファーとしても使われますのでどちらの使用用途でも快適な居住空間が必要とされるのが一般的ですが、ジャガーに関してはその部分の空間的広さはあまり重要視されておらずスタイルや雰囲気を優先したつくりとなっています。
しかし車内に乗り込んで見ると確かにルーフの高さは低めではありますが狭さを感じさせることは有りません。
これは車内のデザインが横に伸びるようなレイアウトをされていることで、視覚的に実際の広さより広く感じるように作られているためです。
このデザインのおかげで外観も低くスマートな優雅なスタイリングを可能としています。
但しこのスタイリングの犠牲としてはトランクスペースはかなりの犠牲を必要とされているため、ゴルフバックは2セットがやっとのスペースしかありません。
日本ではゴルフは乗り合いで行くことが当たり前ですが、ゴルフとジャガーの本場のイギリスでは各自一台の車でいかれるそうなのでこのトランクスペースでもまったく問題は無いそうです。
サー・ウイリアム・ライオンのジャガーの伝統を受け継ぐ最後の型がこの308型となります。
これ以降の型はスタイリング的にも移住空間を優先したため伝統的なスマートなボデイラインも失われ、足回りもエアーショックとなったため伝統的な猫足の乗り心地もかなりスポイルされてしまい、内装に関してもかなりコストダウンされてしまいました。
これにより308型以前のジャガーオーナーは買い替えを躊躇されるようになり一気に販売不振に陥っていったようです。
ジャガーを好まれる方の多くはイギリス紳士のように保守的な方が多く車の性能を買っているのではなく、ジャガーの伝統を買っている様なものですので大きな変革は拒否反応が出てしまうのは当然のことです。
ベンツやBMWのように広く支持されるメーカーではないのでこのような大きな変革は顧客層自体の入れ替えのような博打になってしまうので大きな決断だったと思います。
フォードグループからタタグループへと経営権も変わる中さらに大きな変革をし,新型車に切り替わり性能的には格段に向上したようですが、その代償として過去を切り捨ててしまった今のジャガーには私はまったく興味をもつことはできなくなってしまいました。
確かに一部のジャガーフリークだけを相手にメーカーとして成り立たないのは当然のことなので生き残るためには苦渋の決断であったとは推測されますが、古きよきイギリス・ジャガーの伝統が失われていくことには大変寂しさを感じます。
このお車はジャガーにしては珍しくフルエアロが装着され車高もかなり低くされています。
ジャガーチューナーとしてドイツのアーデンがもっとも有名ですが、アーデン仕様といった感じです。
若い方からするとジャガーは高級セダンメーカーというイメージが強いと思いますが、本来スポーツカーメーカーであるジャガーはこのようなドレスアップを施すと生まれがスポーツカーであることがよく分かります。
しかしいくらスポーティーな外観となってもジャガーはベンツのように“そこのけそこのけ”のような走りは似合わないので、“ゆったり優雅な走り”を心がけなくてはいけません。
外観ともどもジャガーの大きな魅力はこのインテリアのウッドとレザーにあります。
この質感とセンスはアストンマーティン・ベントレー・ロールスロイスなどイギリスの超高級車以外は追随を許さないほどの質感です。
但し伝統的にプラスチックのクオリティーの低さは否定できませんが、そのアンバランスさも“ジャガーの伝統”として許容できてしまいます。
今回ご入庫いただいたのは、写真でご覧いただいたとおり、ウインドウガラスの傷の研磨とスプラッシュビューコーティングです。
フロントガラスはワイパーゴムの当たる範囲に細かな傷がびっしりついてしまっています。
幸いにも爪に引っかかるような傷は無かったので完全にきれいになると思います。
フロントのサイドウインドウもウインドウの上げ下げに因る傷がかなりついてしまっています。
これはゴムに砂など大きなごみがかみこんでしまっていることから付く傷ですが、意外と深い傷が多いので黄砂の時期などは注意が必要です。
今回の施工はヘビーポリッシュによる傷の研磨のため、まずは特殊な溶剤を使用して隠れている傷を浮き立たせます。
普段きれいに見えるガラスも実はシリコンオイルなどが傷を埋めて見えないだけで実はかなり細かな傷が入っています。
雨の日の夜間などの視界不良やぎらつきはかなりこのようなことが原因しています。
隠れている傷がしっかり浮き出したところで、ガラス研磨専用のポリッシャーを使用して傷を研磨していきますが、均一に研磨しないとゆがみが出てしまうためかなりの技術と根気が必要となります。
ポリッシャーの研磨できる幅は1~2cm程度ですのでボデイを磨く以上の集中力も必要とされるため、車磨き研究所ではボデイの磨きの技術が完全習得できているもの意外施工させることはありません。
特に外車の場合合わせガラスのものが多く中にフィルムが入っているので、研磨の際の温度管理も非常に重要となります。
30℃以上に研磨熱を上げてしまうと中のフィルムが伸縮しゆがみを発生させてしまいます。
根気との戦いも終了し、あれだけあった傷もきれいに取り去ることができました。
サイドガラスの傷はかなり深いものもありましたが、取りきれないものも出ずきれいなウインドウに復活することができました。
JAGUAR ジャガー XJ4.0 エグゼクティブ スプラッシュビューコーティング終了
傷もきれいに取り去ることができきれいなウインドウガラスとなることでさらにジャガーの高級感が引き立つようになりました。
コーティングも特殊なフッ素のコーティングですので耐久性は一般的なコーティング剤とは比較にならず、ワイパーを使用しても2年間程度の耐久性があります。
DIYでも市販のものを使用して簡単にコーティングすることは可能ですが、耐久性に関しては足元にも及びません。
また繰り返しの施工が必要となるため、古いコーティングを完全に剥離して際施工をしないと塗り重ねになり視界不良となることも多いので注意が必要です。
フロントガラスの傷の原因はほとんどがワイパーゴムの劣化による傷ですので、まだ使えるような気がしてもなるべく早めに交換されることがお勧めです。
車両クラス:クラスX
施工コース:スプラッシュビューコーティング+ヘビーポリッシュ(フロント基本セット)
施工料金:31.500円税込み
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